特殊清掃は、通常とは異なる事情により汚染や損傷してしまった部屋などをきれいに片付け清掃を行ってもらうことを示します。
また特殊清掃が必要な現場が、ゴミ屋敷化してしまっているという例も少なくはないのです。
こうしたゴミ屋敷の片づけは、特殊清掃と合わせて依頼することができるのでしょうか。
特殊清掃業者の対応業務と合わせて、依頼できる範囲や内容、業者選びのポイントについて解説していきます。
特殊清掃業者とは?
特殊清掃とは、ごく一般的な清掃で落としきれないような汚れなどを専門に清掃や原状回復を行う業者です。
たとえば以下のようなケースでは、汚れの度合いが深刻である場合や、除菌などが必要となるため、「特殊清掃業者」による対応が必要となるケースが多いです。
- 孤独死があった部屋
- 自殺があった部屋
- 事件や事故により死傷者が出た部屋
- ゴミ屋敷化してしまった部屋
- 動物を室内飼いしていたことによる汚れやニオイ
上記のような部屋では、体液や血液などが床や壁についてしまっていることも多いです。上記のような汚れは、ハウスクリーニング業者では対応できないケースが一般的です。特に体液や血液の対処や消臭・除菌作業においては、専門性の高い知識や装備、資格や対応が必要となります。
また必ずしもご遺体のあった部屋を掃除するとは限りません。ゴミ屋敷状態だった部屋では、部屋の腐食やカビなどによりかなり汚れが深刻な状態となっている場合も珍しくありません。猫や犬を飼っていたお家では、糞尿による汚れや悪臭が染みついてしまっていることもあります。このような場合の片付けや清掃・匂いの除去を行うために、特殊清掃業者が対応するケースもあるのです。
特殊清掃業者の業務範囲について
特殊清掃業者の業務範囲や内容は多岐にわたります。どのような業務に対応しているのか解説しましょう。
特殊清掃業者では、特殊清掃が必要な状況の部屋の掃除や除菌、消臭などを行い、元の状態に(原状回復)させるためのさまざまな業務を行います。
- 害虫駆除や殺虫
- ウイルスや菌に対する消毒・除菌作業
- 汚染物の除去や清掃
- 保険適用のための画像撮影対応
- 部屋や浴槽、トイレ等の掃除
- 消臭作業
上記などの作業に付随して、以下のような作業に対応してくれる特殊清掃業者も少なくありません。
- 遺品整理
- ゴミ屋敷の片付け
- 貴重品の捜索
- ハウスクリーニング
- 畳や壁紙などの原状回復作業
- 遺品や不用品の買取
- 不用品処分
またすべての特殊清掃業者が対応しているわけではありませんが、以下のような業務にも対応してくれることもあります。
- 家屋の解体
- 各種処理代行(行政手続き・不動産相続・保険・銀行・車両)
特殊清掃業者によって対応可能な作業が異なりますので、比較検討の際は提供サービスなどもしっかりと確認することが大切ですね。
ゴミ屋敷の片付けが依頼できる特殊清掃業者もたくさんあります
ご遺体による清掃とあわせて、ゴミ屋敷の片付けも依頼したいというケースは決して少なくありません。
このような場合にも、ほとんどの業者で清掃と片付けの両方を依頼できます。
むしろゴミ屋敷化してしまっているお部屋の場合、片付けを行わなければ汚染箇所の清掃は行えません。
もちろんゴミ屋敷の程度によって対応範囲が異なることはあるでしょう。しかしほとんどのケースで特殊清掃とゴミ屋敷の片付けはセットで依頼可能です。
不用品の処分や家財の搬出なども相談できることが多いので、遠慮なく相談してみることをおすすめします。
特殊清掃×ゴミ屋敷片付け 業者選びのポイント
特殊清掃とゴミ屋敷の片付け、同じ業者に依頼する場合は、どのような基準で業者選びをするのが良いのでしょうか。業者選びのポイントをまとめました。
依頼すべき作業をある程度把握しておく
特殊清掃とゴミ屋敷の片付けの両方を依頼する際は、どのような作業や内容を業者に依頼するかで費用や業者選びが変わってきます。
不安な気持ちや混乱もある状況かと思いますが、どのような内容を依頼すべきか、依頼者がある程度把握しておくことも大切です。
- 汚れの度合い
- 片付けや清掃が必要な範囲や場所
- ゴミの量やゴミ屋敷の度合い
- ハウスクリーニングの要・不要
- リフォームの必要性
特殊清掃が必要な箇所や汚れの程度、ゴミの片付けが必要な箇所や捜索してほしいものなど。水回りなどハウスクリーニングが必要そうな場合には、対応してもらうかどうかなども検討が必要でしょう。
幅広いサービスに対応している業者を選ぶ
特殊清掃業者によって、得意とする清掃業務や範囲が異なる場合があります。汚染が強い場合や消臭が必要となる場合には、それぞれの作業ができる特殊清掃業者に依頼することが大切です。
またゴミ屋敷の片付けや原状回復のためのリフォームが必要な場合には、それぞれに対応できるかの確認も重要です。特殊清掃業者だからといってどんな作業も依頼できるというわけではありません。
見積もりなどを通して、どの作業にどこまで対応してもらえるか、しっかりと確認しておくことが大切でしょう。
幅広いサービスに対応できる業者に相談できれば、それだけ柔軟なサービスが受けられます。どのような作業が必要になるのか見当がつかない場合には、さまざまなサービスが受けられる業者を選ぶのも一つの方法です。
特殊清掃の経験や対応実績が多い業者を選ぶ
特殊清掃は、ただ片付けてきれいに掃除すれば良いというものではありません。
体液や血液などが染み込んでしまっている現場やご遺体が腐敗してしまった現場などでは、衛生面への配慮だけでなく、健康被害につながるような菌が部屋に充満してしまっている可能性があるため、除菌作業なども必要です。
ご遺体の腐敗などにより、部屋の中には健康被害につながるような菌が充満している事もあるため、その危険性や適切な対処法を知っておくことが重要です。
経験が浅い業者の場合、除染や除菌に関する知識が少ない場合には、汚れがうまく落とせないだけでなく、菌などによる見えないリスクも高まってしまいます。
経験度合いと合わせて、知識の深さの基準となる資格の有無などもチェックしておくと安心でしょう。
状況によっては水道修理業者との提携がある業者の検討も必要
特殊清掃業者の多くは、特殊清掃やゴミ屋敷の片付け、不用品の処分など片付けに関する一連の作業が依頼できるケースがほとんどです。水回りのハウスクリーニングに対応してくれる業者も多く便利です。
しかしトイレやキッチンなど排水詰まりを起こしてしまっている場合は、外部の水道修理業者に依頼しなければなりません。
信頼できる水道修理業者を紹介してもらえる場合もありますので、見積もりの際につまりが発生していることも相談するとよいでしょう。
業者選びに失敗しないためのポイントや注意点は?
特殊清掃に対応している業者は、実際かなりたくさんあります。依頼時にはどのような業者に依頼すべきか、失敗しないための見極めポイントについて解説します。
明朗会計で料金もしっかりと公開されている業者を選ぶ
特殊清掃は不用品回収と比べると、料金体系が複雑でわかりにくい傾向にあります。
だからこそ明朗会計で、安心できる料金体系の業者を選ぶことが大切です。見積もり時には、丁寧に内訳や明細について説明してくれる業者を選ぶようにしましょう。
現場でしっかりと事前見積もりをしてくれる業者を選ぶ
見積時もりは電話だけでなく、しっかりと現地まで足を運んでみてもらうことが大切です。
事前に現場を見てもらうことにより、作業内容や汚れの深刻度のズレなどが発生しにくくなり、見積もり金額も適正に算出できます。
また事前に見てもらうことで、当日急に追加費用を提示されてしまうようなリスクを回避することにもつながります。
面倒に思えるかもしれませんが、現地見積もりは必ず利用するようにしましょう。
プライバシーの保護に努めている業者を選ぶ
特殊清掃などの際には、しっかりと個人情報やプライバシーの保護に努めてくれる業者に依頼することも大切です。ご近所に何か聞かれてもあれこれ話してしまうことがないような、信頼できる業者を選びましょう。
特にゴミ屋敷の片づけを同時に依頼する際などでは、個人情報が記載された書類などを目にする機会もあります。こうした情報を他言してしまうような業者もごくまれにいるため、注意が必要です。
依頼時は、個人情報に対してどのような意識をもち、スタッフ教育を行っているかなども確認するようにしましょう。
口コミなどをチェックして技術や対応が信頼できるか確認する
特殊清掃業者選びで欠かせないのは、実際に利用した人による口コミや評判をチェックすることです。
どんなに高い技術を持っている業者であっても、心無い言葉や雑な接客対応をするような業者では、安心して任せられませんよね。
また口コミからは、過去にどのようなトラブルがあったのかなどもうかがい知ることができます。
信用できる業者か見極めるためにも、口コミはしっかりとチェックするようにしましょう。
汚れやニオイが強くない場合はゴミ屋敷片付け業者に相談もあり
本記事で解説した通り、特殊清掃業者は通常の清掃では解消できない汚れやニオイを取り除き、原状回復を行ってくれる業者です。
しかしそこまで汚れが強くない状態のゴミ屋敷であれば、ゴミ屋敷片付け業差に相談するのもありです。
ゴミ屋敷片付け業者では、ハウスクリーニングに対応しているところも少なくありません。ペットによる汚れや多少のニオイ程度であれば対応範囲である場合もあるでしょう。
このような場合には見積もりの際に、ゴミ屋敷片付け業者と特殊清掃業者を併用して相談してみることも、検討してみてはいかがでしょうか。